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阪神エリアの在宅医療 ― 兵庫県保健医療計画で見る訪問看護の需要
兵庫県の阪神圏域は、尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・猪名川町の7市1町で、人口は1,735,047人 (令和5年9月1日現在の県推計人口) です。県の保健医療計画 (2024年4月) は、この圏域でも在宅医療の需要が増えると見込み、訪問看護ステーションの確保や機能強化を課題に挙げています。阪神北部では、2040年の訪問診療の需要が2020年の約2.0倍、訪問看護の利用者が約1.9倍になるという見込みも示されています。
阪神圏域とは
兵庫県は、入院医療の体制を考える単位として、県内を8つの「2次保健医療圏」に分けています。阪神圏域はそのひとつで、南部と北部に分けて扱われています。
| 区分 | 構成市町 | 人口 | 面積 |
|---|---|---|---|
| 阪神南 | 尼崎市、西宮市、芦屋市 | 1,032,032人 | 169.14㎢ |
| 阪神北 | 伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町 | 703,015人 | 480.89㎢ |
| 阪神圏域 計 | 7市1町 | 1,735,047人 | 650.03㎢ |
人口は県の推計人口 (令和5年9月1日現在)、面積は国土地理院の面積調 (令和5年4月1日現在) によるもので、計画に載っている数字です。阪神北部は、医療資源の偏在に配慮が必要な区域として「阪神北準圏域」にも設定されています。
県の計画が示す在宅医療の方向
兵庫県保健医療計画は、令和6年4月から令和12年3月までの計画です。在宅医療の章では、退院から看取りまで切れ目のない医療・介護サービスを提供するために、訪問診療を行う医療機関や訪問看護ステーションの増加・規模拡大、急変時の後方支援体制の充実に努めるとしています。
訪問看護については、次のような現状と課題が書かれています。
- 将来の需要増を見据え、訪問看護師の養成・育成が課題になっている
- 訪問看護ステーションは増加傾向だが、小規模事業所 (看護職員の常勤換算5人未満) が大半を占める
- 経営面の課題から廃止する事業所もあり、規模拡大や機能強化が必要である
訪問看護事業所の節には、県や関係団体が進める方策も並んでいます。
- 看取りや教育研修の体制、医療機関との連携機能などを持つ「機能強化型訪問看護ステーション」の整備
- 認定看護師の取得や特定行為研修の受講の推進による、訪問看護師の資質向上
- 病院等との人材交流の検討や、離職時の届出制度を活用した潜在看護師の訪問看護分野への就業支援
- 「訪問看護総合支援センター」での連携体制づくりや研修の実施
看取りについては、兵庫県の在宅看取り率 (自宅・老健・老人ホーム) は令和4年に34.8%で、全国平均の32.3%を上回っていると紹介されています。そのうえで、患者が望む場所で看取りができる体制の確保が必要だとしています。
数字で見る阪神圏域の在宅医療の資源
計画には、在宅医療を担う医療機関などの数が、地域ごとに載っています。そのうち訪問看護にかかわる部分を抜き出しました。
| 地域 | 在宅療養支援診療所・病院 | 24時間対応の訪問看護ステーション | 機能強化型の訪問看護ステーション |
|---|---|---|---|
| 尼崎 | 115 | 84 | 5 |
| 西宮 | 106 | 66 | 4 |
| 芦屋 | 30 | 13 | 1 |
| 伊丹 | 40 | 39 | 3 |
| 川西 (川辺郡を含む) | 30 | 26 | 1 |
| 宝塚 | 43 | 36 | 3 |
| 三田 | 19 | 17 | 1 |
| 兵庫県 合計 | 1,061 | 830 | 49 |
いずれも近畿厚生局への施設基準等の届出状況で、在宅療養支援診療所・病院は令和5年7月1日現在、訪問看護ステーションは令和5年4月1日現在の数です。
別の表では、訪問看護ステーションの設置数 (令和5年9月現在) が、阪神南189か所、阪神北125か所、県全体で919か所とされています。数え方や時点がちがうため、2つの表の数字は一致しません。
阪神南部と阪神北部の課題
阪神南部 (尼崎市・西宮市・芦屋市)
2025年の訪問診療の需要見込みは月12,790人で、2021年の訪問診療患者数 (月10,743人) の約1.2倍です。計画は、在宅医療に対応できる専門職を増やすことや、退院する患者が地域の診療所につながり、在宅医療や訪問看護、訪問リハビリテーションを適切に受けられるよう病診連携を強めることを挙げています。在宅看取りに向けては、ICTを活用した在宅看取りシステムの構築や、機能強化型訪問看護ステーションの充実を進めるとしています。
阪神北部 (伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・猪名川町)
2040年の訪問診療の需要は2020年の約2.0倍、訪問看護の利用者は約1.9倍です。伊丹地域の訪問診療の需要見込み (レセプト件数) は、2020年の年25,788件が2040年には年47,291件 (約1.89倍) と推計されています。
阪神北部で亡くなる場所は、自宅が約2割、医療機関が6割強です。一方で、多くの高齢者は自宅などでの看取りを望んでおり、在宅での看取りの数は2040年に約2.0倍になる見込みです。計画は、急変時や看取り時の緊急往診、休日・夜間の対応のために、在宅医どうしや多職種の連携、訪問看護ステーションの確保など、地域全体での体制づくりが必要だとしています。
また、阪神北部から流出する患者の約半分が在宅医療で、主な流出先は阪神南部・大阪府・神戸圏域です。そのため、在宅医療圏域にこだわらない柔軟な医療介護連携が必要だと書かれています。バイタルリンク等のICTを使った情報共有も進めるとされています。
訪問看護師にとっての意味
計画の数字から読みとれるのは、阪神圏域では在宅医療の需要がこれからも増え、その受け皿として訪問看護ステーションの確保と機能強化が求められているということです。計画は、看取りには緊急往診や休日・夜間の対応が必要になるため、在宅医どうしや多職種の連携が必要だとしています。
リンク訪問看護ステーション伊丹 (伊丹市) は、伊丹市と尼崎市の全域、宝塚市・川西市・西宮市・池田市・豊中市の一部を訪問エリアとしており、阪神北部と阪神南部の両方にまたがって訪問しています。24時間緊急対応や緩和ケアにも対応しています。
よくある質問
阪神圏域にはどの市町が入りますか?
兵庫県保健医療計画では、尼崎市・西宮市・芦屋市 (阪神南) と、伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・猪名川町 (阪神北) の7市1町です。
阪神圏域の訪問看護ステーションは何か所ありますか?
県の計画では、令和5年9月現在の設置数が阪神南189か所、阪神北125か所です。そのうち24時間対応の届出をしているステーションの数などは、別の表で地域ごとに示されています。
これから訪問看護の需要は増えますか?
計画の推計では、阪神北部の訪問看護の利用者は2040年に2020年の約1.9倍になる見込みです。阪神南部でも、訪問診療の需要が増えると見込まれています。
阪神エリアの在宅医療は、これからが需要の伸びる時期です。地域の訪問看護の実際を知りたい方は、募集要項で勤務地や条件を確かめてみてください。


