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知るLearn在宅ケアの知識

訪問先での血圧測定 (イメージ)
写真: rawpixel.com / CC0 (Wikimedia Commons)

胃ろう・経管栄養の在宅生活を支える ― 訪問看護師の観察とご家族支援

公開

胃ろうや経鼻経管栄養の方の在宅生活では、訪問看護師は「栄養が入っているか」だけでなく、皮膚やお腹の調子、口の中の状態、ご家族の手技と疲れ、そして口から味わう楽しみの可能性まで見ています。2012年からは、研修を受けた介護職員も医師の指示の下で経管栄養や喀痰吸引を行えるようになり、看護職との連携が制度の前提になりました。病棟とはちがう「チームの中の看護師」の役割を整理します。

在宅で経管栄養を続けるということ

病棟では、経管栄養は看護師が時間どおりに行うケアの一つです。在宅では、それが毎日、何年も続く暮らしの一部になります。注入の時間に合わせて家族の予定が決まり、外出や旅行も工夫が必要になります。

訪問看護師が関われるのは、その暮らしのごく一部の時間です。だからこそ、訪問の時間を使って「看護師がいない時間をどう安全に過ごせるか」を考えることが中心になります。具体的な注入の方法や量は主治医の指示で決まり、この記事では手順には触れません。

訪問で観察すること

  • 全身の状態: 体重やむくみ、皮膚の乾燥、尿の量や色、発熱
  • お腹の調子: 吐き気や嘔吐、お腹の張り、便の性状や回数
  • 挿入部のまわり: 胃ろうの方は、皮膚の赤みやただれ、漏れがないか
  • 口の中: 口から食べていなくても口の中は汚れます。乾燥や汚れ、歯や義歯の状態
  • 呼吸: むせ、痰の増え方、熱など、誤嚥を疑うサイン
  • 物品と衛生: 器具の洗い方や乾かし方、保管場所
  • ご家族の様子: 手技に不安がないか、眠れているか、表情に疲れが出ていないか

どれも病棟で見てきたことですが、在宅では「前回の訪問から今日までの数日間」をご家族の話から組み立てる必要があります。ご家族が書いている記録や、何気ない一言が大切な情報になります。

ご家族の手技の習得を支える

退院が決まると、病院でご家族への指導が行われることが多いですが、病院と自宅では環境がまったく違います。ベッドの高さ、物品を置く場所、注入する部屋の明るさ。自宅に戻ってから迷うことはたくさんあります。

訪問看護師ができる支援は、たとえば次のようなものです。

  1. 退院前のカンファレンスで、病院での指導内容と気をつける点を引き継ぐ
  2. 自宅の環境に合わせて、物品の置き場所や動線を一緒に考える
  3. 最初は一緒に行い、できていることを言葉にして伝えながら、少しずつ任せていく
  4. 「抜けた」「詰まった」「吐いた」ときに、どこへ連絡するかを紙に書いて見える場所に貼る
  5. 介護者が体調を崩したときや休みたいときの代わりの手段を、ケアマネジャーと考えておく

リンク訪問看護ステーション伊丹は24時間の緊急対応を行っており、休日や夜間の体調の相談に応じ、必要なときは訪問します。困ったときにつながる先があることは、ご家族の安心に直結します。

口から食べることへの支援

胃ろうがあることと、口から食べることは、必ずしも二者択一ではありません。病状や飲み込みの力によっては、主治医の判断で、楽しみとして少量を味わったり、口から食べる練習を続けたりする方もいます。

ここで大切なのは、看護師が自分だけで判断しないことです。飲み込みの評価は主治医や歯科、言語聴覚士などと一緒に行い、方針はチームで共有します。訪問看護師の役割は、口腔ケアで口の中の環境を整えること、食事や会話の場面でのむせや声の変化を観察すること、そして「もう一度食べたい」という本人の思いをチームに届けることです。

食卓に一緒に座る、においや味を楽しむといった関わりも、暮らしの質を支えるケアの一つです。

介護職による喀痰吸引等・経管栄養の制度

在宅で経管栄養を支えるのは、看護師とご家族だけではありません。社会福祉士及び介護福祉士法により、介護福祉士と、一定の研修を受けた介護職員等は、医師の指示の下で、たんの吸引と経管栄養を行えるようになっています。厚生労働省の資料では、この制度は平成24年 (2012年) 4月1日施行で、介護福祉士については平成28年 (2016年) 4月1日施行とされています。

対象になる行為は、省令で次のように決められています。

  • 喀痰吸引: 口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部
  • 経管栄養: 胃ろうまたは腸ろう、経鼻経管栄養

介護福祉士以外の介護職員等で、研修を修了して都道府県知事から認定証の交付を受けた人を認定特定行為業務従事者といいます。法律は、認定特定行為業務従事者が業務を行うにあたって、医師、看護師その他の医療関係者との連携を保たなければならないと定めています。また、こうした業務を行う事業者は、事業所ごとに都道府県知事への登録が必要で、医療関係者との連携の確保が登録の要件になっています。

訪問看護師にとって特に大切なのは、厚生労働省の資料に示された次の役割分担です。

確認すること行う人
胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことの確認医師または看護職員
経鼻経管栄養の栄養チューブが正確に胃の中に挿入されていることの確認医師または看護職員
医師の指示の下での経管栄養の実施看護職員、または研修を修了した介護福祉士・認定特定行為業務従事者

ヘルパーが経管栄養を担っている家庭では、訪問看護師は状態の確認と、介護職員からの「いつもと違う」という報告を受け止める窓口になります。連絡の取り方や記録の共有方法を最初に決めておくことが、安全につながります。

よくある質問

経管栄養の利用者さんを担当した経験が少なくても大丈夫ですか?

リンク訪問看護ステーション伊丹では、経管栄養を含む医療処置や難病の方の訪問にも対応しています。訪問看護が未経験の方には、慣れるまで同行訪問でサポートし、十分に慣れてからひとりでの訪問を始めます。

ヘルパーさんが経管栄養をしている家庭で、看護師は何をするのですか?

胃ろうの状態の確認など看護職員が行う確認を担い、全身状態を観察して主治医に報告します。介護職員が気づいた変化を受け止め、必要に応じて主治医やケアマネジャーにつなぐ役割もあります。

「口から食べたい」と言われたら、どうすればよいですか?

その思いを大切に受け止めたうえで、自分だけで判断せず、主治医に相談します。飲み込みの評価や方針の検討は、歯科や言語聴覚士などとチームで行います。

ご家族が疲れているように見えるときは?

まず話を聞き、どの時間帯の何が負担になっているかを具体的に確かめます。ヘルパーの利用やサービスの組み合わせの見直しなどを、ケアマネジャーと一緒に検討します。

胃ろうや経管栄養の方の訪問は、病棟で身につけた観察の力を、ご家族や介護職と分け合う仕事でもあります。どんな体制で訪問しているのか詳しく知りたい方は、見学の申し込みからお気軽にご相談ください。

出典

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