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40代・50代から訪問看護へ ― 経験の生かし方と体力の不安
40代・50代からの訪問看護への転職は、決して遅くありません。就業している看護師の約半数は40〜59歳で、病棟やさまざまな現場で積んだ経験は、ご自宅での看護やご家族への支援にそのまま生きます。不安になりやすい体力や新しい仕組みへの慣れは、職場選びと準備でかなり軽くできます。
看護師の約半数は40〜59歳
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例 (就業医療関係者) の概況」によると、令和6年 (2024年) 末時点で就業している看護師は1,363,142人です。年齢階級別に見ると、いちばん多いのは45〜49歳の186,529人 (13.7%) でした。
| 年齢階級 | 人数 | 構成割合 |
|---|---|---|
| 40〜44歳 | 162,129人 | 11.9% |
| 45〜49歳 | 186,529人 | 13.7% |
| 50〜54歳 | 164,077人 | 12.0% |
| 55〜59歳 | 129,202人 | 9.5% |
この4つの年齢階級を合わせると47.1%になります。40代・50代は、看護の現場でいちばん厚い世代です。
募集で年齢はどう扱われるか
労働施策総合推進法の第9条では、事業主は労働者の募集・採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています (厚生労働省令で定める例外があります)。多くの求人票に年齢の上限が書かれていないのは、この決まりがあるためです。
ただ、年齢で区切られないからこそ、面接では「これまでの経験をどう生かしたいか」「どんな働き方を続けたいか」を具体的に話せることが大切になります。
40代・50代の経験が生きる場面
ご家族の立場がわかる
親の介護や子育てなど、自分自身が家族の立場を経験している人も多い世代です。介護を担うご家族の疲れや迷いに気づきやすく、言葉に実感がこもります。
多職種との調整に慣れている
主任やリーダーとして、医師やほかの職種との調整を経験してきた人は、主治医やケアマネジャーとの連携でも力を発揮できます。訪問看護は、院外の多くの職種と連絡をとりながら進める仕事です。
幅広い疾患を見てきた
内科、外科、整形外科、精神科など、複数の科で働いた経験は、さまざまな病気を抱えて暮らす利用者さんの観察に役立ちます。
不安になりやすいことと、その備え
体力
訪問看護では、入浴介助や移乗の介助など、体を使うケアがあります。厚生労働省によると、介護・看護作業が含まれる保健衛生業の腰痛発生率 (死傷年千人率) は0.25で、全業種平均の0.1を大きく上回っています。
厚生労働省は平成25年に「職場における腰痛予防対策指針」を改訂し、全介助が必要な方の移乗などでは、リフトなどを積極的に使い、原則として人力での抱え上げは行わせないとしています。ご自宅では福祉用具がそろっていないこともあるので、次のような点を確かめておくと安心です。
- 2人で訪問する体制がとれるか
- 福祉用具の導入をケアマネジャーに相談する流れがあるか
- 1日の訪問件数と移動の距離
タブレットや新しい仕組み
記録をタブレットで行う事業所もあります。慣れないうちは時間がかかりますが、入力する項目は決まっていることが多く、使ううちに覚えられます。入職前に「誰が、どのくらいの期間、使い方を教えてくれるか」を聞いておくとよいでしょう。
年下の先輩から教わること
訪問看護では、看護師としての経験が長くても、在宅の経験は短い、ということがよくあります。年下の先輩から教わる場面もありますが、「在宅のことは教えてもらい、病棟の経験は伝える」というお互いさまの関係をつくれると、職場になじみやすくなります。
長く働くために確かめたいこと
- 雇用形態: 正社員かパートか、途中で切り替えられるか
- オンコール: 回数と、担当しない働き方ができるか
- 移動手段: 社用車か自分の車か、自転車か
- 定年と継続雇用: 定年の年齢と、その後も働き続ける制度があるか
- 給与: これまでの看護師経験がどう評価されるか
高年齢者雇用安定法の改正 (令和3年4月施行) で、事業主には70歳までの就業機会を確保する措置をとる努力義務が設けられました。定年後の働き方も、早めに確かめておくと計画を立てやすくなります。
転職活動の進め方
40代・50代の転職では、仕事以外の事情も含めて考えることが多くなります。次の順番で進めると、条件の行き違いが起きにくくなります。
- 家族と働き方を話し合う: 親の介護、子どもの進学、自分の通院など、この先数年の予定を書き出し、平日の勤務時間やオンコールにどこまで応じられるかを決めておきます
- 経験を棚卸しする: 働いた診療科、役職、得意な技術と不安な技術を一覧にします。面接で話す材料になり、入職後に何から学ぶかも見えてきます
- 見学で同じ世代の働き方を聞く: 同じ世代のスタッフがどんな働き方をしているかを聞くと、自分が働く姿をイメージしやすくなります
- 面接では学ぶ姿勢を伝える: 経験を生かしたいことと、在宅については一から学ぶつもりであることの両方を伝えると、受け入れる側も育成の計画を立てやすくなります
リンク訪問看護ステーション伊丹の場合
募集要項では、雇用形態は正社員とパート社員で、移動には訪問用の社用車を貸与しています。応募に必要な運転免許は普通自動車免許で、AT限定でもかまいません。オンコールは免除も可能で、日勤のみで働くスタッフもいます (2025年10月の事業所公式ブログより)。
まとめ
40代・50代は、看護の現場でいちばん人数の多い世代で、訪問看護に生きる経験をたくさん持っています。不安は体力、新しい仕組み、長く働けるかの3つに分けて、見学や面接で一つずつ確かめてみてください。給与や休日などの条件は募集要項にまとめています。
よくある質問
50代で訪問看護が未経験でも採用されますか?
採用の判断は事業所によってちがいますが、募集・採用で年齢を理由に機会を閉ざすことは、原則として法律で認められていません。未経験の方に同行訪問などでどう教えているかを聞き、自分に合う職場かどうかを確かめてください。
体力が続くか心配です。パートから始めるのはありですか?
ありです。勤務日数や時間を抑えて始め、慣れてから働き方を見直す人もいます。パートから正社員に切り替えられるかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。
しばらく現場を離れていた場合はどうすればよいですか?
ブランクがある方向けの準備や公的な支援は、ブランクがあっても訪問看護で復職できる?にまとめています。
管理職の経験は訪問看護でも生かせますか?
生かせます。スタッフの相談に乗る、多職種と調整する、仕組みを整えるといった経験は、訪問看護ステーションの運営でも求められます。まずは訪問の実務に慣れることから始め、その後の役割は事業所と相談していくとよいでしょう。


