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聴診器 (イメージ)
写真: Tachypnoe / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

訪問看護は未経験でも大丈夫? 病棟からの転職の不安と最初の数か月

公開

病棟での経験があれば、訪問看護が未経験でも転職はできます。不安の多くは「家で使う医療機器」「ひとりのときの急変」「保険と書類」に集まっていて、どれも入職後に順番に覚えていけるものです。大切なのは、ひとりで訪問するまでの段階を、事業所がどう用意しているかを入職前に確かめておくことです。

未経験からのスタートは、めずらしくない

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、令和6年 (2024年) 末に就業している看護師のうち、65.7%が病院で働いています。訪問看護ステーションで働く看護師は6.7%です。訪問看護の職場には、病院から移ってきた人が多く、未経験からのスタートは特別なことではありません。

病棟から移るときに感じやすい5つの不安

1. 在宅で使う医療機器に慣れていない

在宅酸素、胃ろう、人工呼吸器、ストーマなど、病棟で触れる機会が少なかった機器に出会うことがあります。まずは「触れたことがある」「見たことはある」「知らない」の3つに分けて、自分の経験を書き出してみてください。入職後に何から学べばよいかがはっきりし、先輩にも相談しやすくなります。

2. ひとりのときに急変したらどうしよう

運営基準では、訪問中に利用者さんの病状が急に変わったときは、必要に応じて臨時応急の手当を行い、速やかに主治医へ連絡して指示を求めるなどの措置をとることが定められています。つまり、ひとりで全部を決めるのではなく、主治医や事業所と連絡をとりながら対応するのが基本です。誰に、どの順で連絡するかは事業所ごとに決まっているので、入職したら最初に確認しておきましょう。

3. 医療保険と介護保険の区別がわからない

訪問看護は、利用者さんによって医療保険と介護保険のどちらかで提供されます。最初から細かいルールを覚える必要はありません。担当する利用者さんがどちらの保険かを毎回確認する習慣をつけるところから始めれば十分です。基本は訪問看護師の仕事内容にもまとめています。

4. 書類の流れがつかめない

訪問看護は、主治医の指示を文書で受けてから始まります。そのうえで看護師が訪問看護計画書を作り、訪問した日や提供した看護の内容を訪問看護報告書にまとめて、主治医に提出します。病棟の看護計画と似ていますが、「主治医が院外にいる」「計画書を利用者さんにお渡しする」点がちがいます。

5. ご家族との距離のとり方

ご自宅では、ご家族が介護の担い手でもあります。病棟よりもご家族と話す時間が長くなるので、最初は戸惑うかもしれません。先輩の同行訪問で、どこまで踏み込み、どこで一歩引くのかを見て学ぶのが近道です。

最初の数か月で覚えていくこと

覚える順番は事業所によってちがいますが、全国訪問看護事業協会が公開している育成のガイドでは、同行訪問を重ねながら「先輩のやり方を見て学ぶ → 部分的に実践する → 見守りのもとで実践する → 単独で訪問できる」と段階を踏む考え方が示されています。新卒向けのガイドですが、病棟から移る人にも当てはまる流れです。

はじめの段階: 見て覚える

  • 事業所の1日の流れ、訪問の準備と片付け
  • 利用者さんごとの保険の種類と、訪問の時間・頻度
  • 緊急時に連絡する順番と、相談先
  • 記録のしかた (タブレットか紙か、何をいつまでに書くか)

慣れてきた段階: 一部を自分で行う

先輩と一緒に訪問しながら、バイタル測定や観察、一部のケアを自分で担当します。訪問のあとに、先輩がどう判断したのかを聞くと、在宅ならではの考え方が身につきます。

ひとりで訪問する段階

ひとりでの訪問は、状態が落ち着いている利用者さんから始めることが多いとされています。ひとりで回るようになってからも、迷ったときは電話で相談し、ときどき先輩と同行してケアの内容を確かめ合うと安心です。

病棟の習慣から切り替えたいこと

病棟で当たり前だったことが、ご自宅では少しちがいます。最初のうちに意識して切り替えると、戸惑いが減ります。

  • 物品はそのお宅にあるものを生かす: 病棟のようにすぐ補充できないので、何を持参し、何をお宅のもので代用するかを事前に考えます
  • 時間の枠の中で終える: 訪問には決まった時間があります。優先順位を決めてから家に入る習慣がつくと、時間に追われにくくなります
  • ご家族が次のケアの担い手になる: 看護師が帰ったあとにケアを続けるのはご家族です。自分がやるだけでなく、ご家族ができる形で伝えることも仕事の一部です
  • 連絡は院外の主治医へ: 病棟のようにすぐ医師に声をかけられないので、電話などで要点を短く伝える練習が役立ちます

入職前にしておくと楽になる準備

  1. 得意な技術・不安な技術の一覧を作る
  2. 介護保険の基本 (要介護度、ケアマネジャーの役割) を一度読んでおく
  3. 訪問エリアの地図を眺めて、道の感覚をつかんでおく
  4. 見学で「ひとり立ちまでの進め方」を聞いておく

見学で聞いておきたい質問は、見学・カジュアル面談で聞いておきたい10のことにもまとめています。

リンク訪問看護ステーション伊丹での始め方

私たちのステーションでは、いま活躍しているスタッフの8割が、訪問看護未経験からのスタートです (採用ページのよくある質問より)。ひとりでの訪問は、先輩との同行訪問を重ねて十分に慣れてから始めます。記録には業務用タブレットを貸与していて、具体的な方法は入職後に説明・フォローします。

まとめ

訪問看護が未経験でも、病棟で身につけた観察や判断の力は土台になります。不安を「機器」「急変」「保険」「書類」「ご家族」に分けて考えると、何を確かめればよいかが見えてきます。ひとり立ちまでの進め方を具体的に聞いてみたい方は、履歴書なしのカジュアル面談からどうぞ。

よくある質問

病棟経験は何年あれば訪問看護に移れますか?

決まった年数はありません。経験年数よりも、ひとりで訪問するまでの教え方や相談の体制が自分に合っているかの方が大切です。経験が短い方は、その分の教え方を事業所がどう考えているかを聞いてみてください。

未経験だと給与は低くなりますか?

給与の決め方は事業所によってちがいます。看護師としての経験年数をどう評価するかは、面接で確認しておくと安心です。

ひとりで訪問を始める時期は決まっていますか?

決め方は事業所によってちがいます。全国訪問看護事業協会の育成ガイドでは、期間で区切るのではなく、できることや本人の「ひとりで訪問できる」という実感をもとに、育成担当者と一緒に見きわめる考え方が示されています。

覚えることが多くて、ついていけるか心配です

一度に全部を覚える必要はありません。最初は担当する利用者さんのことから覚え、少しずつ範囲を広げていきます。わからないことをメモして、まとめて質問する時間をつくると、先輩にも聞きやすくなります。

出典

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