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訪問看護師のキャリアパス ― 認定・専門看護師、特定行為研修、管理者
訪問看護師のキャリアは、大きく「資格で専門性を深める」「医師の手順書による特定行為を担う」「ステーションの運営を担う」の3つの方向に広がっています。認定看護師には「在宅ケア」、専門看護師には「在宅看護」の分野があり、特定行為研修には在宅・慢性期の領域に絞った研修もあります。認定看護師と専門看護師には通算5年以上の実務経験などの要件があるので、早めに道筋を知っておくと計画が立てやすくなります。
3つの制度の比較
| 認定看護師 | 専門看護師 | 特定行為研修 | |
|---|---|---|---|
| 運営 | 日本看護協会 | 日本看護協会 | 厚生労働省の制度 (指定研修機関で受講) |
| 在宅に近い分野 | 在宅ケア など | 在宅看護 など | 在宅・慢性期領域のパッケージ研修 |
| 主な要件 | 実務5年以上 (うち分野3年以上)、教育機関の修了 | 実務5年以上 (うち分野3年以上)、大学院修士課程の修了 | 指定研修機関で共通科目と区分別科目を修了 |
認定看護師: 特定の分野の熟練した実践者
日本看護協会によると、認定看護師は、特定の看護分野で熟練した看護技術と知識を持つ者として協会の認定を受けた看護師です。役割は「実践」「指導」「相談」の3つとされています。
A課程とB課程
2019年の制度改正で、特定行為研修を組み込んだ「B課程」の教育が始まり、分野も再編されました。
- B課程 (19分野): 特定行為研修を組み込んだ課程です。認定審査は2021年度から始まっています
- A課程 (21分野): 特定行為研修を組み込んでいない従来の課程です。A課程の認定審査は2029年度まで実施されます
A課程には「訪問看護」という分野があり、B課程では「在宅ケア」という分野が設けられています。
在宅ケア分野で身につけること
日本看護協会の分野一覧では、在宅ケア分野の知識と技術として、生活の場でのQOLの維持・向上とセルフケア支援、在宅療養への移行支援と多職種との調整・協働、意思決定支援とエンド・オブ・ライフケアなどが挙げられています。あわせて、気管カニューレの交換、胃ろうカテーテルなどの交換、褥瘡などで血流のない壊死組織を除去するための知識・技術も含まれています。
ほかにも、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、認知症看護、摂食嚥下障害看護、心不全看護、小児プライマリケアなど、訪問看護の現場と関わりの深い分野がB課程にあります。
受験資格
看護師免許を取得したあと通算5年以上の実務研修があり、そのうち通算3年以上が認定を受けたい分野での実務研修であること、そして認定看護師教育機関の課程を修了していることが必要です。
専門看護師: 大学院で学ぶ高度な実践者
専門看護師は、看護系大学院の修士課程で所定の単位 (総計38単位) を取得し、実務研修の要件を満たしたうえで日本看護協会の審査を受けて認定されます。実務研修は通算5年以上、そのうち3年以上は専門看護分野での実務が必要です。認定は5年ごとに更新します。
分野は14あり、そのひとつが「在宅看護」です。日本看護協会は、在宅看護の専門看護師の特徴を、在宅で療養する方とご家族が生活の場で療養を続けられるよう支援し、在宅看護の新しいケアシステムの構築や、既存のサービスの連携促進を図ることとしています。
特定行為研修: 手順書による診療の補助
特定行為研修の制度は、平成27年 (2015年) 10月1日に始まりました。厚生労働省によると、制度の目的は、医師または歯科医師の判断を待たずに、手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成し、今後の在宅医療等を支えていくことです。
- 特定行為は38行為で、21の特定行為区分に分かれています
- 研修は、すべての区分に共通する「共通科目」と、区分ごとの「区分別科目」で構成されます
- 特定の領域でよく行う行為をまとめた「領域別パッケージ研修」があります
在宅・慢性期領域のパッケージ
厚生労働省の資料では、在宅・慢性期領域のパッケージ研修を修了した看護師が手順書により行える特定行為として、気管カニューレの交換、胃ろうカテーテルなどの交換、褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、脱水症状に対する輸液による補正の4つが示されています。
なお、特定行為を行うかどうかは、研修を修了していても、医師の指示と手順書、事業所の体制のもとで決まります。
管理者: ステーションの運営を担う
介護保険の運営基準では、訪問看護ステーションごとに、常勤の管理者を置くことが定められています。管理者は、やむを得ない理由がある場合を除いて、保健師または看護師でなければなりません。また、適切な訪問看護を行うために必要な知識と技能を持っていることも求められます。
全国訪問看護事業協会は「訪問看護管理者研修ポータルサイト」を設け、管理者向けの研修やキャリアラダーを公開しています。現場で主任やリーダーを経験し、運営の仕事に関わっていく道もあります。
キャリアを考えるときの順番
- まずは訪問看護の実務で、関心のある分野を見つける
- 実務経験の年数と、分野での経験を記録しておく
- 職場の研修費の補助や、勤務を続けながら学べる制度を確かめる
- 教育機関の開講時期と出願期間を調べる
リンク訪問看護ステーション伊丹の募集要項では、福利厚生に研修費の助成があり、昇給は年1回 (4月) です。
まとめ
訪問看護のキャリアは、在宅ケアの認定看護師、在宅看護の専門看護師、特定行為研修、管理者と、いくつもの道があります。どれも実務の積み重ねが前提なので、まずは日々の訪問で関心のある分野を見つけることから始めてみてください。研修の支援や働き方について詳しく聞きたい方は、カジュアル面談でお気軽にどうぞ。
よくある質問
訪問看護の経験だけで認定看護師をめざせますか?
受験資格は、看護師免許を取得したあと通算5年以上の実務研修があり、そのうち3年以上が認定看護分野での実務であることです。訪問看護での経験がどの分野の実務として認められるかは、日本看護協会が分野ごとに基準を示しているので、事前に確認してください。
特定行為研修は働きながら受けられますか?
指定研修機関によって、講義の形式や期間はさまざまです。厚生労働省のサイトに指定研修機関の情報がまとめられているので、通いやすさや形式を比べて選ぶとよいでしょう。
管理者になるのに必要な資格はありますか?
運営基準では、管理者は原則として保健師または看護師であることと、適切な訪問看護を行うために必要な知識と技能を持っていることが求められています。管理者向けの研修は、全国訪問看護事業協会などが開催しています。
認定看護師と専門看護師は、どちらをめざせばよいですか?
認定看護師は、特定の分野で熟練した看護を実践し、指導や相談を行う役割です。専門看護師は、大学院で学び、実践に加えて調整や倫理的な問題の解決、研究なども担います。日々の訪問の中で深めたいことが技術や実践なのか、仕組みづくりや研究なのかを考えると選びやすくなります。

