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住宅街 (東京都内、イメージ)
写真: Syced / CC0 (Wikimedia Commons)

訪問看護ステーションの人員基準 ― 常勤換算2.5人と管理者の決まり

公開

訪問看護ステーションは、看護職員を常勤換算で2.5人以上置き、そのうち1人は常勤であること、そして常勤の管理者を置くことが法令で決まっています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「実情に応じた適当数」とされ、人数の下限はありません。この基準を知っておくと、求人票や見学で「このステーションはどんな体制で回っているのか」を読み取りやすくなります。

人員基準はどこに書いてあるのか

訪問看護の基準は、保険ごとに別の省令に書かれています。

  • 介護保険: 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (平成11年厚生省令第37号) の「第4章 訪問看護」
  • 医療保険: 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 (平成12年厚生省令第80号)

両方の指定を受けて運営しているステーションも多く、中身はおおむね共通です。ただ、資格の書き方など細かなちがいもあるので、この記事では両方の条文を見ながら整理します。

看護職員は「常勤換算で2.5人以上」

常勤換算とは

省令では、常勤換算方法を「事業所の従業者の勤務延時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、常勤の人数に換算する方法」と定めています。厚生労働省の解釈通知では、常勤の従業者が勤務すべき時間数は事業所で定める時間で、32時間を下回る場合は32時間を基本とするとされています。

たとえば常勤の勤務時間が週40時間の事業所で、常勤2人と週20時間のパート1人が働いていれば、(40×2+20)÷40=2.5 となり、基準を満たします。つまり、パートの看護師が多いステーションでも、勤務時間の合計で基準を満たすことができます。

1人は常勤でなければならない

2.5人のうち1人は常勤でなければなりません。また、ここでいう看護職員には、保健師・看護師・准看護師が含まれます (医療保険の省令では助産師も含まれます)。

育児・介護などで短時間勤務をする人への配慮

解釈通知では、育児・介護休業法にもとづく所定労働時間の短縮など、育児・介護・治療のための短縮措置を受けている人は、30時間以上の勤務で常勤換算上「1」として扱えるとされています。利用者さんへの対応に支障がない体制が整っていれば、常勤の要件も30時間で扱えます。子育て中の方が時短勤務をしても、ステーションが基準を満たしやすいようにする仕組みです。

管理者の決まり

管理者には、次のような決まりがあります。

  • 常勤で、原則として管理業務に専念する。ただし管理上支障がない場合は、そのステーションのほかの職務 (訪問など) や、ほかの事業所の職務を兼ねることができます
  • 資格: 介護保険の省令では保健師または看護師、医療保険の省令では保健師・助産師・看護師。どちらも「やむを得ない理由がある場合」は例外とされています
  • 知識と技能: 適切な訪問看護を行うために必要な知識と技能を持っていること

医療保険の省令では、管理者が従業者の管理、利用の申し込みの調整、業務の実施状況の把握などを一元的に行うことや、訪問看護計画書・報告書の作成について必要な指導と管理を行うことも定めています。小さなステーションでは、管理者が自分も訪問に出ながら、こうした役割を担っていることがよくあります。

理学療法士等は「適当数」

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数」とされています。下限がないので、リハビリ職が何人も在籍するステーションもあれば、看護職員だけのステーションもあります。リハビリ職がいるかどうかで、看護師が担う役割や、チームで相談できる相手は変わってきます。

運営の基準で決まっていること

人員だけでなく、日々の運営にも決まりがあります。医療保険の省令から、働く人に関係の深いものを抜き出しました。

項目主な内容条文
主治医との関係提供の開始に際し、主治医の指示を文書で受ける第16条
計画書・報告書看護師等 (准看護師を除く) が作成し、主治医に提出する第16条・第17条
緊急時の対応急変時は速やかに主治医に連絡し、指示を求める第19条
勤務体制と研修勤務の体制を定め、研修の機会を確保する第22条
業務継続計画感染症や災害の発生時の計画をつくり、研修・訓練を定期的に行う第22条の2
記録の保存訪問看護記録書などを、完結の日から2年間保存する第30条

介護保険の省令では、職場でのハラスメントで看護師等の就業環境が害されることを防ぐための方針の明確化などの措置も、事業者に求められています (第74条で第30条を準用)。

転職を考える人にとっての意味

厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査によると、2024年10月1日時点で活動中の訪問看護ステーションは18,042事業所で、前年から1,619事業所 (9.9%) 増えています。開設主体は営利法人 (会社) が66.8%を占めています。

最低ラインが常勤換算2.5人なので、ステーションの規模はさまざまです。人数が少ないステーションでは、1人の休みや退職がシフトやオンコールの回数にひびきやすくなります。見学では次の点を聞いてみると、体制が見えてきます。

  1. 看護職員は常勤換算で何人か、そのうち常勤は何人か
  2. オンコールを何人で回しているか (オンコールの実際)
  3. 管理者は訪問にも出ているか
  4. 研修や同行訪問はどのように行っているか

また、事業所は運営規程の概要や勤務の体制などの重要事項を事業所内に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載することになっています。運営規程には従業者の職種・員数・職務の内容も定めます。応募の前に、こうした公開情報に目を通しておくのもおすすめです。見学で何を聞くかは、見学で聞いておきたい10のことも参考にしてください。

よくある質問

准看護師も2.5人の中に数えられますか?

はい。看護職員には准看護師も含まれます。ただし、医療保険の省令では、訪問看護計画書と訪問看護報告書を作成する「看護師等」から准看護師が除かれています。

パートが多いステーションでも基準は満たせますか?

満たせます。基準は常勤換算なので、勤務時間の合計で計算します。ただし、看護職員のうち1人は常勤であることが必要です。

管理者は訪問に出ないのですか?

原則は管理業務に専念しますが、管理上支障がない場合は、ステーションのほかの職務を兼ねることが認められています。管理者が訪問に出ているかどうかは、ステーションによってちがいます。

基準を満たしているかは、どこで確かめられますか?

運営規程の概要などの重要事項は事業所に掲示され、原則ウェブサイトにも掲載されます。介護保険の事業所であれば、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでもサービス内容などの詳細情報を見られます。わからない点は、見学で直接聞くのが確実です。

まとめ

人員基準は「最低限ここまでは置く」という線で、実際の働きやすさは、その上にどれだけ人と仕組みを積み上げているかで決まります。常勤換算の人数、オンコールの体制、管理者の役割、研修のしかたは、求人票だけではわかりません。気になる点は、見学の申し込みをして、実際の体制を確かめてみてください。

出典

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