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区分支給限度基準額と訪問看護の回数 ― ケアプランの枠の中で考える
介護保険の訪問看護は、要介護度ごとに決まっている1か月の上限 (区分支給限度基準額) の中で、訪問介護や通所介護などほかの在宅サービスと枠を分け合って使います。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、訪問看護の回数はケアマネジャーが作るケアプランの中で、ほかのサービスとのバランスを見ながら決まります。医療保険で行う訪問看護は、この枠の外です。
区分支給限度基準額とは
介護保険法第43条は、在宅サービスについて、1か月に保険から給付される額に上限を設けています。この上限のもとになるのが区分支給限度基準額で、厚生労働省の告示で要介護度ごとに単位数で決められています。
| 要介護度 | 区分支給限度基準額 (1か月) |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 10,531単位 |
| 要介護1 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 36,217単位 |
単位数は2019年10月から適用されている告示の値で、将来の見直しで変わることがあります。また、介護保険法では、市町村が条例で、この基準額より高い額をその市町村の基準額にできるとされています。
訪問看護はケアプランの中のひとつ
介護保険の訪問看護は、ケアマネジャー (介護支援専門員) が作るケアプラン (居宅サービス計画) に位置づけて行います。ケアマネジャーの運営基準では、次のように決められています。
- 利用者さんが訪問看護などの医療サービスを希望している場合などは、利用者さんの同意を得て主治医などの意見を求める
- 作ったケアプランは主治医などに渡す
- ケアプランに訪問看護などの医療サービスを位置づけるのは、主治医などの指示がある場合に限る
訪問看護の側でも、すでにケアプランがある場合は、その内容に沿って訪問看護計画書を作ることが運営基準で決められています。つまり、訪問看護計画はケアプランの中の一部として組み立てるものです。
訪問看護1回は何単位か
要介護の方に訪問看護ステーションの看護師が訪問した場合の基本の単位数 (訪問看護費) は、次のとおりです (2024年度 (令和6年度) 介護報酬改定で定められ、2026年6月の改定後の算定構造でも同じ単位数です。今後の改定で変わることがあります)。
- 20分未満: 314単位
- 30分未満: 471単位
- 30分以上1時間未満: 823単位
- 1時間以上1時間30分未満: 1,128単位
たとえば要介護2の方 (19,705単位) が、30分以上1時間未満の訪問看護を月8回使うと、基本部分だけで823単位×8回=6,584単位となり、計算上は限度額のおよそ3分の1にあたります。実際には加算や減算があり、ほかのサービスとの組み合わせで残りの枠が決まります。
限度額の枠の外で数えるもの
厚生労働省の介護報酬の算定構造では、訪問看護費のうち次の加算は「支給限度額管理の対象外」とされています。
- 緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算
- 特別地域訪問看護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
- サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算
つまり、24時間の対応体制や特別な管理、看取りにかかわる加算を算定しても、そのぶん利用者さんがほかのサービスに使える枠が減るわけではありません。加算そのものの考え方は訪問看護の加算の記事で説明しています。
限度額を超えたら
限度額の範囲内なら、自己負担は1割 (一定以上の所得のある方は2割または3割) です。限度額を超えて利用した分は保険給付の対象にならず、全額自己負担になります。厚生労働省が給付管理の取扱いを示した通知でも、限度額を超えた時点からのサービスは保険給付の対象外 (自己負担) として計算例が示されています。
ここで大切なのは、訪問看護を増やすことが、訪問介護や通所介護、福祉用具などほかのサービスを減らすことにつながる場合があるという点です。訪問看護師が「もう1回訪問したほうがいい」と考えたときも、利用者さんとご家族の暮らし全体で見て何を優先するかを、ケアマネジャーと一緒に考えることになります。
ケアマネジャーとの調整の考え方
- 状態の変化はすぐ共有する: 訪問で気づいた変化を、ケアマネジャーにも具体的に伝えます。サービス担当者会議は、看護の視点を計画に反映させる場です。
- 医療保険の訪問看護になる場合を知っておく: 急性増悪で主治医が特別訪問看護指示書を出した期間や、別表第7の疾病等に当たる場合は医療保険の訪問看護になり、この限度額の枠の外になります (医療保険と介護保険のちがい、指示書の記事)。
- 回数だけでなく中身で考える: 1回の時間区分や、ご家族への指導の内容を見直すことで、同じ枠の中でも支え方は変えられます。
よくある質問
限度額いっぱいまでサービスを使っている人が多いのですか?
利用の仕方は人によって大きく違います。限度額は「ここまで使える上限」で、全員がそこまで使うわけではありません。
医療保険の訪問看護は、区分支給限度基準額に含まれますか?
含まれません。区分支給限度基準額は介護保険の在宅サービスの上限です。医療保険の訪問看護は、医療保険のルール (原則週3日まで、など) で回数が決まります。
訪問看護師がケアプランを書き換えることはできますか?
ケアプランを作るのはケアマネジャーです。訪問看護師は、看護の立場から必要な回数や内容を提案し、主治医の指示とケアプランに沿って訪問看護計画書を作ります。
まとめ
区分支給限度基準額を知っておくと、訪問看護の回数がなぜその回数なのか、ケアマネジャーとどう話せばいいのかが見えてきます。病棟とはちがう「暮らし全体の中で看護を組み立てる」感覚は、訪問看護の面白さのひとつです。ステーションでの多職種の連携について聞いてみたい方は、話を聞くだけのカジュアル面談をご利用ください。

