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写真: DVMG / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

新卒・第二新卒から訪問看護へ ― 育成の考え方と職場選びのポイント

公開

新卒や第二新卒で訪問看護を選ぶ道は、すでに業界団体が育成のガイドをまとめるほど現実的な選択肢になっています。ただし、病院のような大人数の新人研修はない場合が多いので、「誰が、どんな段階を踏んで育ててくれるのか」を入職前に確かめることがいちばん大切です。

「まず病棟で経験を」という考え方の変化

かつては「訪問看護は病棟で何年か経験してから」という考え方が一般的でした。全国訪問看護事業協会のサイトで公開されている「地域で育てる新卒訪問看護師のための包括的人財育成ガイド」にも、「病棟での臨床経験は3年から5年は必要だ」という声が管理者や教員の間にあったことが書かれています。

一方で同じガイドは、訪問看護事業所での実習体験などをきっかけに、訪問看護を志す学生が声を挙げはじめ、新卒を採用する事業所も出てきたことを紹介しています。全国訪問看護事業協会は平成29年度にも「訪問看護から始めるキャリア発達支援ガイド ~新卒訪問看護師を育てたいと考えている人へ~」を公開していて、新卒を受け入れる事業所向けの手引きが整えられてきました。

新人の研修は法律でも位置づけられている

厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(平成26年2月) によると、平成21年の保健師助産師看護師法と看護師等の人材確保の促進に関する法律の改正で、平成22年4月から、新たに業務に従事する看護職員の臨床研修等が努力義務になりました。訪問看護ステーションでも、新人をどう育てるかは事業所の大事な役割です。

ひとり立ちまでの段階

「訪問看護から始めるキャリア発達支援ガイド」では、同行訪問を重ねながら段階を踏む進め方が示されています。

  1. 見学する時期: 先輩の訪問に同行し、やり方を見て学ぶ
  2. 部分的にケアを実施する時期: 一部のケアを自分で担当する
  3. 見守りのもとで主体的にケアを実施する時期: 先輩が見守る中で、自分が主体となってケアを行う
  4. 単独訪問: ひとりで訪問し、次の訪問まで利用者さんやご家族が安心して過ごせるよう整える

単独訪問を始める目安

同じガイドでは、単独訪問を始めるための条件の例として、次のようなものを挙げています。

  • できること・できないことを理解し、技術的に実践できる
  • 同行訪問を繰り返し実施している
  • 自分のレベルを認識し、ひとりで訪問できると本人が言える
  • 不安なことやわからないことを、報告・連絡・相談できる

期間で区切るのではなく、本人と育成担当者が一緒に見きわめる考え方です。ひとりで訪問するようになっても、月に1回程度は同行してケアの内容を確認することが勧められています。

最初に担当する利用者さん

最初の単独訪問は、病状が安定していて、本人やご家族とコミュニケーションがとりやすい方を選ぶことが多いとされています。週に2回以上訪問している方のうち1回を新人が担当すると、別の看護師の目も入るので、見落としを防ぎながら学べます。

新卒で働くときに意識したい5つの心得

「地域で育てる新卒訪問看護師のための包括的人財育成ガイド」は、新卒訪問看護師がめざすゴールとして、5つの心得を挙げています。

  • チームで健やかに働こう
  • 社会人としての常識を身に着けよう
  • 個別の看護を展開しよう
  • 自ら進んで学習しよう
  • 基本的な看護技術について自信を持とう

技術だけでなく、チームで働くことや社会人としての基本が最初に挙がっている点が特徴です。訪問先はご自宅なので、あいさつや時間の守り方、言葉づかいが信頼の土台になります。

第二新卒で訪問看護を考えるとき

病院に就職したものの、1〜3年ほどで訪問看護に関心を持つ人もいます。病棟での経験は、たとえ短くても、観察やバイタル測定、急変時の動き方など、在宅でも生きる土台になります。

一方で「病棟がつらかったから」という理由だけで移ると、訪問看護ならではの負担 (ひとりで訪問する緊張感、移動、オンコール) に戸惑うかもしれません。何がつらかったのか、訪問看護で何をしたいのかを、言葉にしてから職場を探すと、面接でも話しやすくなります。

第二新卒の転職で伝えたいこと

面接では、病棟での経験を「何ができるか」だけでなく「何を学んだか」として話せると、育成の計画を立ててもらいやすくなります。たとえば、受け持ちの患者さんの退院支援に関わった経験や、ご家族への説明で工夫したことは、訪問看護の仕事に直結します。反対に、自信のない技術も正直に伝えておくと、同行訪問の中で重点的に学べるよう配慮してもらいやすくなります。

職場選びで確かめたいこと

確かめたいこと聞き方の例
育成の担当者新人には誰がつきますか。担当者に相談できない日はどうしていますか
同行訪問の進め方見学から単独訪問まで、どんな段階で進めていますか
単独訪問の判断ひとりで訪問を始めるかどうかは、誰がどう決めていますか
外部の研修外部の研修や勉強会に参加できますか。費用の補助はありますか
オンコール新人がオンコールを担当するのは、いつ頃からですか

新卒の採用経験があるかどうかも、遠慮せず聞いてかまいません。経験がない事業所でも、育成の計画を一緒に考えてくれるかどうかが判断の材料になります。

まとめ

新卒・第二新卒から訪問看護へ進む道は、育成の考え方が整理され、少しずつ広がっています。ただ、育て方は事業所ごとに大きくちがいます。見学で、ひとり立ちまでの段階と相談の体制を具体的に聞いてみてください。リンク訪問看護ステーション伊丹への見学は、見学の申込から受け付けています。

よくある質問

新卒で訪問看護に就職すると、病院に戻れなくなりますか?

そのようなことはありません。訪問看護で身につけた観察やご家族への支援の力は、病院でも生きます。ただし、病棟での急性期の技術を学ぶ機会は少なくなるので、関心のある分野は研修などで補うとよいでしょう。

新卒を採用している訪問看護ステーションは多いですか?

新卒を受け入れるかどうかは、事業所によって方針がちがいます。求人票に書かれていなくても相談に応じてくれる場合があるので、関心のある事業所に直接問い合わせるのが確実です。

第二新卒の場合、どんな経験が評価されますか?

病棟でのバイタル測定や観察、記録、多職種とのやりとりは、どれも訪問看護で生きる経験です。短い経験でも、何を学び、訪問看護で何をしたいのかを具体的に話せることが大切です。

学生のうちにしておくとよいことはありますか?

在宅看護の実習で、訪問看護師がどんな順番で観察し、ご家族に何を伝えているかをよく見ておくと、就職後に役立ちます。関心のある事業所があれば、見学やインターンシップを受け付けているか問い合わせてみるのもよい方法です。

出典

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