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小児訪問看護とは ― 医療的ケア児と家族を支える仕事と、身につけたい視点
小児訪問看護は、医療的ケアが必要なこどもや、病気・障害のあるこどもとその家族の暮らしを、ご自宅で支える仕事です。在宅で暮らす医療的ケア児は推計で2万人を超え、2021年に施行された医療的ケア児支援法で、国や自治体が支援する責務も定められました。病棟で培った観察やケアの力はそのまま生き、そこに「成長」と「家族全体」を見る視点が加わります。
医療的ケア児とは
こども家庭庁の資料では、医療的ケア児を「NICU等を退院した後も、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な児童」と説明しています。
- 全国の在宅の医療的ケア児 (0〜19歳) は推計で2万人を超え、2025年の推計値は21,496人
- 年齢別では0〜4歳の増加率が高く、15〜19歳も着実に増えている
- 人工呼吸器を必要とする医療的ケア児も増加傾向にある
医療の進歩で救える命が増え、退院してご自宅で暮らすこどもが増えています。その暮らしを支える担い手の一つが、訪問看護です。
医療的ケア児支援法のポイント
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(令和3年法律第81号) は、2021年6月18日に公布、同年9月18日に施行されました。目的には、医療的ケア児の健やかな成長を図ることに加えて、その家族の離職の防止に資することが明記されています。
法律では、次のようなことが定められています。
- 国と地方公共団体が、医療的ケア児とその家族を支援する責務を負う
- 保育所や学校の設置者は、看護師等の配置などの措置をとる
- 都道府県などが「医療的ケア児支援センター」を置き、家族の相談に応じる
さらに2026年7月には改正法 (令和8年法律第77号) が公布され、2027年4月1日に施行されます。18歳を過ぎても切れ目なく支援を受けられるよう、医療的ケアが必要な成人や重症心身障害者も支援の対象に加わり、法律の題名も「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」に変わります。
小児訪問看護でする仕事
こどもの体調と成長を見る
呼吸や栄養、排泄、睡眠といった体調の観察に加えて、発達の様子を見ていきます。体重の増え方や、できることが増えていく変化を、ご家族と一緒に確かめるのも大切な仕事です。
医療的ケアについて家族と一緒に考える
ご自宅では、たんの吸引や経管栄養などのケアの多くをご家族が担っています。訪問看護師は、こどもの状態を確かめながら、ケアのやり方や困りごとの相談に乗り、主治医と情報を共有します。
家族全体を支える
医療的ケアは24時間続くこともあり、ご家族の睡眠や休息が削られがちです。保護者の体調、きょうだいのこと、仕事との両立など、家族全体の暮らしに目を向けます。法律の目的に「家族の離職の防止」が入っているのは、この負担の大きさを表しています。
外の世界とつなぐ
通園・通学、外出、リハビリ、障害福祉サービスなど、こどもの世界が広がるにつれて関わる人も増えます。主治医、保育所や学校、相談支援の担当者などと情報をやりとりし、こどもの生活を一緒に組み立てていきます。
大人の訪問看護とのちがい
| 見るところ | 大人・高齢者の訪問看護 | 小児訪問看護 |
|---|---|---|
| 体の変化 | 加齢や病気の進行に合わせる | 成長・発達に合わせて変わっていく |
| 主な相手 | 本人と家族 | こどもと保護者、きょうだい |
| 使う保険 | 介護保険または医療保険 | 医療保険 |
| 連携先 | ケアマネジャー、主治医など | 主治医、保育所・学校、障害福祉の窓口など |
介護保険の被保険者は40歳以上の方なので、こどもへの訪問看護は医療保険で行われます。介護保険のケアマネジャーがいない分、訪問看護師が関係者の間をつなぐ場面も多くなります。
小児訪問看護で大切にしたいこと
保護者は「いちばんの専門家」
毎日ケアを担っている保護者は、こどもの小さな変化に最初に気づく存在です。看護師が正解を教えるというより、保護者が積み重ねてきたやり方や気づきを尊重し、そのうえで専門職として気づいたことを伝える。この関係が、長く続く訪問の土台になります。
こどもの「楽しい」も支える
体調を整えることと同じくらい、遊ぶこと、外に出ること、きょうだいや友だちと過ごすことも、こどもの育ちには大切です。例えば、体調の安定している時期に外出の準備を一緒に考えるなど、ケアを「できることを増やす」方向に向けていく視点が求められます。
先の見通しを一緒に持つ
入園や入学、きょうだいの誕生、保護者の復職など、こどもと家族の暮らしは数年単位で大きく変わります。その節目ごとに、必要な支援や関わる人を一緒に考えていくのも、小児訪問看護の役割です。
小児の経験がなくても始められる?
小児科やNICUでの経験があれば心強いですが、なくても、成人の病棟で身につけた呼吸や栄養の観察、急変に気づく目は小児訪問看護でもそのまま生きます。加えて学んでおきたいのは、成長発達の基礎と、家族全体を支える家族看護の考え方です。
職場を選ぶときは、次のことを確かめておくと安心です。
- 小児の利用者さんがどのくらいいて、誰が担当しているか
- 小児の訪問に慣れた先輩と同行する期間があるか
- 体調が急に変わったとき、誰にどう相談するか
- 学校や相談支援の担当者との連携を、どのように進めているか
リンク訪問看護ステーション伊丹では、小児看護・リハビリとして、医療的ケアが必要なお子さまとご家族の暮らしを支えています。小児の訪問に興味がある方、経験がなくて不安な方は、見学のお申し込みから実際の様子を聞いてみてください。
よくある質問
小児訪問看護は、小児科の経験がないとできませんか?
小児科の経験は必須ではありません。成人の看護で身につけた観察力は生きます。成長発達や家族看護は働きながら学ぶことになるので、同行の期間や相談体制を職場選びで確かめておくと安心です。
こどもの訪問看護は、どの保険を使いますか?
医療保険です。介護保険の被保険者は40歳以上の方なので、こどもへの訪問看護は医療保険の訪問看護療養費で行われます。
医療的ケア児は、どのくらいいるのですか?
こども家庭庁の資料 (令和8年8月時点) では、在宅の医療的ケア児 (0〜19歳) は推計で2万人を超えており、2025年の推計値は21,496人です。
18歳を過ぎたら支援は終わりますか?
2027年4月1日に施行される改正法で、18歳を過ぎても医療的ケアが必要な方や、重症心身障害者も支援の対象に加わります。切れ目なく支援を受けられるようにするための改正です。

