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訪問看護の加算 ― 24時間対応・特別管理・ターミナルケアの考え方
訪問看護の加算は、24時間連絡がとれる体制、特別な管理が必要な利用者さんへの計画的な管理、自宅などでの看取りといった、手間や責任の大きい看護を評価するしくみです。同じ趣旨の加算でも、医療保険では「24時間対応体制加算」、介護保険では「緊急時訪問看護加算」のように名前が違い、医療保険は円、介護保険は単位で決まっています。どちらの保険で訪問しているかで、使う加算と算定のルールが変わります。
加算を見るときの前提
この記事の金額・単位は、医療保険は2026年度 (令和8年度) 診療報酬改定 (2026年6月施行) の告示、介護保険は2024年度 (令和6年度) 介護報酬改定で定められ2026年6月の改定後も同じ単位数を、厚生労働省の資料で確かめたものです。報酬は改定のたびに見直されます。
加算には、ステーションの体制を評価するものと、利用者さんの状態や行った看護を評価するものがあります。看護師にとっては、要件がそのまま「何を記録し、どんな体制で動くか」の決まりになります。
24時間の対応を評価する加算
医療保険: 24時間対応体制加算 (訪問看護管理療養費の加算)
地方厚生局に届け出たステーションが、利用者さんやご家族に対して24時間対応できる体制にあり、利用者さんの同意を得た場合に月1回算定します。2026年度改定の告示では次の2区分です。
- イ 24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合: 6,800円
- ロ イ以外の場合: 6,520円
同じ月に、その利用者さんについて別のステーションが算定している場合は算定できません。これとは別に、利用者さんやご家族の求めに応じ、主治医 (診療所または在宅療養支援病院の医師) の指示で緊急に訪問したときの「緊急訪問看護加算」(1日につき、月14日目まで2,650円、月15日目以降2,000円) もあります。
介護保険: 緊急時訪問看護加算
訪問看護ステーションの場合、緊急時訪問看護加算(Ⅰ)は1月につき600単位、(Ⅱ)は574単位です。(Ⅰ)は、24時間連絡できる体制を充実させるために看護業務の負担を軽くする体制を評価するもので、厚生労働省の通知では、次のうち「ア」か「イ」を含む2項目以上を満たすこととされています。
- ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
- イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続 (2回) まで
- ウ 夜間対応後の暦日の休日確保
- エ 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
- オ ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
- カ 電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保
24時間の連絡相談は原則としてそのステーションの保健師か看護師が担当します。マニュアルの整備や看護師への報告など、決められた条件をすべて満たせば、看護師以外の職員に連絡相談を担当させることも認められています。オンコールの実際はオンコールの記事で紹介しています。
特別管理加算
特別な管理が必要な利用者さんに、計画的な管理を行ったときの加算です。
- 医療保険: 月1回2,500円。重症度等の高い状態として別に定められた利用者さんは5,000円。対象は別表第8に当たる方です (別表第7・第8の記事)。
- 介護保険: 特別管理加算(Ⅰ)は1月につき500単位、(Ⅱ)は250単位。(Ⅰ)は在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態や、気管カニューレ・留置カテーテルを使用している状態が対象です。
医療保険の通知では、真皮を越える褥瘡の方について算定するときは週1回以上褥瘡を観察・評価して記録すること、点滴注射の管理をしている方では点滴が終わった日などに主治医へ速やかに連絡することが求められています。
ターミナルケアの評価
- 医療保険: 訪問看護ターミナルケア療養費。在宅や特別養護老人ホーム等で亡くなった利用者さんに、主治医の指示のもと、死亡日と死亡日前14日以内に2回以上訪問し、ターミナルケアの支援体制を説明したうえでケアを行った場合に算定します。療養費1は25,000円、施設で看取り介護加算等を算定している方が対象の療養費2は10,000円です。
- 介護保険: ターミナルケア加算。死亡日と死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に2,500単位です。
医療保険は「2回以上」、介護保険は「2日以上」と、数え方の書き方も違います。
3つの加算の対応表
| 評価する内容 | 医療保険 | 介護保険 (訪問看護ステーション) |
|---|---|---|
| 24時間の対応体制 | 24時間対応体制加算 イ6,800円 / ロ6,520円 (月1回) | 緊急時訪問看護加算 (Ⅰ)600単位 / (Ⅱ)574単位 (1月につき) |
| 特別な管理 | 特別管理加算 2,500円 / 5,000円 (月1回) | 特別管理加算 (Ⅱ)250単位 / (Ⅰ)500単位 (1月につき) |
| ターミナルケア | ターミナルケア療養費 25,000円 / 10,000円 | ターミナルケア加算 2,500単位 |
同じ月に両方の保険が関わるとき
給付調整についての厚生労働省の通知では、介護保険で緊急時訪問看護加算を算定している月は医療保険の24時間対応体制加算を、介護保険の特別管理加算を算定している月は医療保険の特別管理加算を算定できないとされています。介護保険でターミナルケア加算を算定した場合は、医療保険のターミナルケア療養費は算定できません。特別訪問看護指示の期間だけ医療保険になる場合などに関わるルールです (医療保険と介護保険のちがい)。
また、介護保険の緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算は、区分支給限度基準額の管理の対象外です (区分支給限度基準額の記事)。
よくある質問
加算は看護師個人の給与に直接つくものですか?
加算はステーションが保険から受け取る報酬のしくみで、看護師個人への手当とは別のものです。
加算の要件は覚えておく必要がありますか?
点数の暗記は不要です。ただ、要件には「週1回以上の観察と記録」「主治医への連絡」など看護の動き方が書かれているので、担当する利用者さんに関わるものは知っておくと役に立ちます。
24時間対応の体制があるステーションでは、全員がオンコールをするのですか?
体制の組み方はステーションによって違います。担当の人数や回数、免除の有無は、見学や面接で確かめるのが確実です。
まとめ
加算は、ステーションが「どんな体制で、どんな看護をしているか」を映す鏡のようなものです。リンク訪問看護ステーション伊丹は、休日や夜間の体調の相談に応じ、必要なときは訪問する24時間緊急対応を行っています。オンコールの手当や回数の目安は募集要項にまとめていますので、あわせてご覧ください。
出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件 令和8年厚生労働省告示第74号 (厚生労働省)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 令和8年3月5日 (厚生労働省)
- 介護報酬の算定構造 令和8年6月改定箇所 (厚生労働省)
- 令和8年度介護報酬改定について (厚生労働省)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 (訪問通所サービス等) の制定に伴う実施上の留意事項について 令和6年度改定 (厚生労働省)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等 平成27年厚生労働省告示第94号 (厚生労働省 法令等データベース)
- 「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について 令和8年3月27日 (厚生労働省)

